重なる身体と歪んだ恋情
「週末、アメリカ大使館で晩餐会が開かれます。それに是非一緒に参加していただきたい」
「わたしが、ですか?」
この質問がマヌケなことは分かってる。
だけど、どうしても確認したくて。
すると奏さんは少し不思議そうに首を傾げて。
「無理、ですか? こういった場では夫婦出席が必須なのですが……」
彼の口から発せられる『夫婦』と言う言葉に酷く違和感を覚える。
だけど彼の言ってるコトは正しい。
私の両親だって兄や祖母を留守番させて晩餐会によく参加していたから。
何度か泣いて喚いて連れて行ってもらったことはあるけれど。
「あのっ、でも私そういった場は初めてで。もしかしたらご迷惑を――」
ただのいいわけ。
それが分かっているのか奏さんはホッとするように微笑んだ。
「大丈夫です。私の傍に居ていただけるだけで。形式的なことで申し訳ありませんがそう言うことですので土曜日の夜は空けて置いてください」
「……はい」
開けるも何も、
私にはいつだって時間がある。
それこそ、気が遠くなるほどの時間が。