星に願いを
「…その子はなんて?」
悠は優しい顔でフッと笑った。
「『君なら大丈夫!自信持って!』だってさ。
それだけだったんだ、彼女が言ったのは。
でもそれが温かくてさ…。
あの時の俺は、誰かに大丈夫って言ってほしかったんだよな、きっと。」
頭をくしゃっとかいた。
「あれから悩んでいたことだったり、不安に思っていたこと、簡単に解決しちまったんだ。あれってなんだったんだろうな~」
なつかしそうに目をつむった。
「そう…案外簡単だったんだよ。気づかせてくれたのはその子だったんだ。」
星子も揺らしていたブランコを止めて、悠に優しく微笑んだ。
「ステキな話ですね。もしかして初恋?」
「初恋…かな。でも初恋って儚く消えるイメージじゃない?」
悠が夜空に向かってため息をついた。
「最近会えたんだよ、彼女に。俺の目の前に現れたんだ。」
「えっ?会えたんですか?」
星子は胸がきゅんとせつなくなった。
「そう。偶然。」
「その子は悠さんのこと覚えてたんですか?」
「いや全然。まっ、仕方ないけど。俺大人になっちまったし。」
「その子だって大人になってたんでしょ?
それでも悠さんは彼女を覚えてたんですか?」
「もちろん!彼女、きらきら星のように輝いてたよ。
なんてったって星の子だからね。」
――毎日夜空に思い描いた、君の笑顔。
忘れることなんて出来ない――