星に願いを




「でも…よかった。」


星子は少しホッとしたように頷いた。


「あの後、ちょっとだけ後悔したんだ。星あげちゃったこと。
最後の一粒だったから。」


あの日の夜の事を思い出した。


星のキャンディーがなかったから、お母さんが早く帰ってくるようにお願いできなかったんだ。


そうしたらあんな事に…。


でもそんなことは関係なかったんだと、大人になってわかること…。




「…ごめん。」


悠がうつむいた。



「悠さんの願いが叶ったんだから、やっぱりよかったんです。」


星子が夜空を見上げて満点の星にほほ笑んだ。



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