SLAUGHTER GAME

僕はコーヒーを啜りながら
母さんとリーシャの話に耳を傾けていた。

きゃっきゃっと無邪気に話すリーシャ
夕飯を作りながら話す母さん。


その光景が僕の宝物だった。
ここに父さんがいると、
ぼくにちょっかいかけてくるのだけれど

今はいなかった。


ずいぶん前から父さんの姿がそこから消えていた。

「もう5年経つのか。」
僕がシャボン玉を作る時のように小さく呟いた。


ずうっと仕事で外に出っぱなしで
時折、手紙は来るのだけれど

それだけでは不満だった。


ぼくは男の子だし
リーシャのように母さんに甘えてばかりもいられない
自分だけ一人ぼっちになった気分になることも
男の子として生まれてきたことを悔やむことも
多々あった。


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