SLAUGHTER GAME
暖簾を潜ってすぐそこに
リーシャは立っていた。
「お兄ちゃん!早くしないと無くなっちゃうよ!!」
リーシャは僕に必死に訴える。
僕はリーシャに「あぁ」と返事を返したきり
何も言わずに立ちつくしていた。
僕の鼻には砂糖などの甘い匂いに混じって
何か薬品の様な匂いが微かに混じっている事が分かった。
鼻につんと来る程嫌な匂いではなかったが、
その匂いがなんだか怪しい様な気がしてならなかった。
「お兄ちゃん?お砂糖買わないの?」
リーシャが僕の異変に気付いたのだろう。
リーシャはそう言うと
なんだか怪しむ様な不安な表情を見せて
僕の顔を見上げた。
僕は怪しい薬品の匂いがする事も
この店の中ではリーシャに話せないので
一度、砂糖以外の物を買うという事にして
店の外に出たのだった。