緋~隠された恋情
この目だ。

私はこの目から逃れられない。

中学生の時の二人で過ごしたあの夜から、

まるで呪縛のように、

一歩だって動けなくなる。

ダメ

私は変わるはずでしょ

そう決めたんじゃない。

もう、平の手のひらの上で踊らされるのはいや。


「聞こえなかったの?

 私のことは放っておいて!」


振り切るように声を出したせいで、

思いの外大きな声だった。


さっきからガヤガヤした店内はシンとして

皆の視線は私たちに注がれた。


平はふっと笑うと、

「声デカ過ぎ!」

笑った。


その様子を見て、

ただの痴話喧嘩として認識されたのか

再びがやがやとした雰囲気に戻っていった。


くやしい、

結局、私はコイツの手のひらで踊らされているのか。

「平…」

その声にビクッとした。


お兄ちゃんが

いつの間にか後ろに立っていた。










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