緋~隠された恋情
「大したことなかったみたいだ。」

治療室から出てきた新は照れたように笑って


「もうこのスラックスダメだな、

 まだ荷物届いてないから買わないとなあ。」

なんてのんきに言ってる。

懐かしい感覚だな。

高校時代いつもこんな感じだった。

ボケたことばっかり言ってる新に

良く呆れて突っ込ん出たな、俺。


「ったくお前なあ。ああいう時よく飛び出していくよな。」


「ああ、別に死ぬのとかあんまり怖くないからかな?

 なんだろ、生きることに執着してないんだよ俺。


 ああ、でも、ありさには泣かれたくないんだけど。


 俺が死んだら泣くだろうなあいつ。」



「もう泣いてるだろ。お前に捨てられた時点で。」


「だから捨てたわけじゃないって…」


「これ、治療費に使えよ。

 俺あいつ、迎えに警察行ってくるわ。

 とりあえず、うちの学校の生徒だからな。」


「あ、サンキュまだ日本円交換してないから助かる。

 後で返すな。


 だけどお前…くくっ」



「なんだよ。」


「先生なんだなあって」


なんかムカつく。


あんな別れ方したのにこいつは、

何も変わらんのか。


こんなやつを相手に俺は長年画策してたのかと思うと

情けなくなった。

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