緋~隠された恋情
病院の玄関を出たところで、

息を切らせたありさとぶつかりそうになった。


俺を見ると、

ありさはひどくがっかりした様子で俺を見上げる。


昨日といい、

この女は俺に会っても嬉しそうな顔ひとつ見せない。



それどころか、まるで、存在自体を許していない態度だ。



まあ、そう言う関係だったけれど、

未練だらけの俺はひどく傷ついた。


さんざん弄んで傷つけてきたのだから、

これくらい当たり前と言えば当たり前なのだが…


「なんて顔してんの?」


「怪我したのは、植木先生だったの?


 お兄ちゃんはここに居るの?」
 

「アイツに会いに来たんじゃないのか?」


「会いに来たのよ!いるのねここに!」


「そりゃあ、怪我したのはあいつだからなあ。

 ったく、無茶しやがって。


 まあ、たいしたことなかったけど…」



俺の言葉を最後まで聞かずに

走り出したありさの後ろ姿をぼんやりと眺めた。



焦がれて会いたかった後ろ姿。


追いかけて抱きしめたかった。


両手をグッと握り締め、向きを変え歩き始めた。

「もう一度捨てると決めたものだ」







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