図書室で、恋。


「なぁ陽彩。」

「ん?何?」

「…あ、いや。何でもねぇ。」

「えー?!何それ。」

私が気になって執拗に聞くも「いや、本当何でもねぇ」の一点張りの悠太。

もう、逆に気になるよ。

何となく、今日の悠太はおかしい。
妙によそよそしいというか、なんというか。

…どうしたんだろう?


「なんか悠太あった?」

「え、なんで?」

「いや、なんていうか…いつもの悠太じゃない気がする。」

「何だよ、それ。」

「ほらっ、そういうところ!
なんか今日全体的に淡白じゃない?」

思わず私は立ち止まった。

悠太ってば部活終わってから、必要最低限の言葉しか発してないような気がする。

「淡白って…俺は魚かよ。」

「そ、そうじゃなくてさ。」

「ほーらっ、俺明日テストなんだから。はよ帰るぞ。」

少し苛立って顎で私を促す。

何よ何よ、幼なじみ舐めんじゃねぇっつぅーの!

私はブツクサ文句を言いながらも、悠太の後を追った。

< 12 / 34 >

この作品をシェア

pagetop