図書室で、恋。
「え?」
「僕は、そんな風にできません。」
「えっと…」
予想もしてないようなことを言うものだから、私は思わず言葉に詰まってしまった。
「いつも流されてばかり。岩崎さんを見ていると、自分がどうしようもなく思えます。」
え、え、え…?
私はただ口をポカンと開ける。
目の前にいるのは、あの大和くんなのだろうか?
大和くん、急にどうしちゃったの?
「大和くん、どうしたの?熱でもあるの?」
「ふっ…いえ、ごめんなさい。何でもないです。」
そういたずらに笑って、大和くんは古本の整理をするのか書庫へ入った。
頭の中にぐるぐるとハテナマークが溢れた。
「へん…なの…」
季節の変わり目で可笑しくなっちゃったのかな?
大和くんって暑さに弱いっけ?
いや、でも去年特に何もなかったと思うけどなぁ…。
その時、ピーーーーッと長い笛がグラウンドに響き渡った。
ハッとなって時計を見ると、もう部活終了時刻。
私は荷物を鞄に詰め込んで、「大和くん、じゃぁね!」と書庫に向かって叫んで、図書室をあとにした。
もうその時には悠太のことが頭にはいっぱいで。
さっきまでの変な大和くんのことはすっかり頭の中から消えていた。