図書室で、恋。
「あ…その…」
必死で考えた言い訳も虚しく、何も口から出てこなかった。
そんな私をよそに、大和くんは「そうか、今日は5限授業の日だったな。」とだるそうに言った。
しばらく気まずい沈黙が流れた。
正直、戸惑った。
もちろん大和くんがそんなことを此処で行っていたこととか、色々あるけれども…!
何より、大和くんのその雰囲気だ。
いつもの、物静かなおっとりした紳士的な男性の雰囲気は、少なくとも皆無だった。
むしろ正反対で、肉食っぽい出で立ちと、髪型、服装の着崩し…
不覚にも、かっこいいと思ってしまった。
そんなことを考えていると、中から女の人が凄いスピードで出て来て、走り去って行った。
それを見て私は再び言葉を失った。
「え…あれ…」
「はぁ、とりあえず、お前。ちょっと中入れ。」
へっ、お前…?
今、大和くん、私のことお前って言った…?!
そう言えば、さっきも岩崎って呼び捨てで呼んだような…
「別に何もしねぇよ。ほら。」
大和くんはちょっと可笑しそうに笑って、図書室の中へと入った。