図書室で、恋。
「はぁ…古典の予習、多いなぁ。」
私は一気にだるくなって、思わず机に伏せる。
「古典、まだ嫌いですか?」
「大っ嫌い。先生も内容も。もう昔の言葉なんて分からないよ~!」
大和くんはクスクス笑う。
全ての科目の中で、1番苦手な古典。
きっと大和くんは得意なんだろうなぁ、と思う。
大和くんの方を見ると、再びあの分厚い本を手に取り、熱心に読んでいた。
「大和くん、その本何?」
「……。」
「おーい、大和くんってば。」
今日の私は全くと言っていいほど集中力が無いみたい。
対する大和くんは、もう自分の世界に入り込んでいる(いつもだけど)。
私は窓の方へ行き、グラウンドを見渡した。
……あ、悠太はっけーん!
どうやらミニゲームをしているみたい。
あ、悠太にボールが渡った。行け、行け……あぁ、惜しい。
そして視線を少しずらすと、マネージャーが目に入った。
サッカー部のマネージャーになろうとは思わなかった。
そもそも私はサッカー自体はそんなに好きじゃないし、雑用なんてもっとやりたくない。
興味があるのは悠太のサッカー姿だけ。
けれども、こう、あからさまにマネージャーの姿を見るものは、気分が良いものではなかった。
特に今年の1年生のマネージャーは多い。
見ないようにしながらも、その姿には少し嫉妬をしている。