学園怪談2 ~10年後の再会~
 ……僕が探偵事務所を設立してすぐだから、まだそんなに時間が経っていない話なんだけど。第一号の依頼人は営業初日に突然やって来たんだ……。
「か~、いくら開業したと言っても、そう簡単に仕事がポンポンくる訳じゃないよな~。カッコイイ仕事なんて稀で、始めはやっぱり犬猫探しや浮気調査が関の山かな?」
僕はチラシやポスター、ネットなんかで探偵事務所の開業を宣伝していた。でも最初から仕事が来ることなんて全く考えてなかった。とにかく1ヶ月に1件くらいでも仕事がくればいいと思っていた。しかし……。
 ピンポーン。
 午後の2時くらいだったか、いきなりインターフォンが鳴った。
「なんだ、誰か来たのかな?」
 家と事務所が一体化しているとはいえ、私生活の玄関とは別に事務所用の入り口を設けている。今のチャイムはそっちの仕事用の方だ。
「はいはい、今出ますよ~」
 ドアを開けると、そこに立っていたのはスーツ姿の30歳位(推定。小松っちゃんズアイ調べ)のお姉さま。黒ブチメガネをかけたインテリタイプ。頭の後ろで団子にした髪といい、整った体型(上から85・60.87小松っちゃんズアイ調べ)といい、どこかの会社の秘書か、大企業か大学予備校とかで働いていそうな感じだ。
「あ、あの……こちらは小松探偵事務所さんでよろしいでしょうか?」
「え、あ、はい。そうですが何かご用でいらっしゃいますか?」
 少し緊張していたのか、僕は訪ねて来た客に対して間抜けな受け答えをしたように思った。
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