愛を知る日まで
もし俺が人に何か貰うんだったら…やっぱゲームソフトかなぁ。
けど真陽が、そんなモン欲しいわけないし。
自分の貧困な発想に頭を抱える。
大人の女が欲しいもんって何だろう?
そんな事を相談できる相手もいない俺は情報を求めて、家に帰る足を廻れ右して街をふらついてみることにした。
けど立ち並ぶ店を見たって分かるはずもなく、思案にくれた挙げ句、俺は本屋に入って女が読むような雑誌を立ち読みした。
写真ばっかのその雑誌は、服と靴と鞄がいっぱい載っていて「女ってこういうのが好きなのか」と俺は感心しながら眺めた。
真陽もこんなのが欲しいのかな。そしたらどうすればいいんだろう?どこの店で買えばいいんだ?あ、その前にサイズが分かんないや。じゃあ鞄かな。
さらにページをペラペラ捲っていくと、後ろの方はケーキや甘いものの写真ばかりになっていった。
甘いもんばっか。女って甘いもんも好きなのか。ガキみたいだな。
カラフルでゴチャゴチャ飾られたケーキの写真を見てるうちに何だか胸焼けしてきた俺は、雑誌をパタンと閉じると棚に戻し
「…やっぱ本人に聞こ。」
そう思い直して本屋を立ち去った。