愛を知る日まで





とにかく、ここの大人達は賑やかだった。



雉さんの親友だと云う園長の狭山さんは、以前は東京でぬくもりの手のスタッフをやっていたらしく、H養護施設にいた俺の事を知っていた。


「よーく覚えてるわよ、柊ちゃんね。まだ小学校にあがる前で可愛かったわぁ。あの時は全然笑わない子だったのに、立派に成長したのねえ。嬉しいわあ。」


狭山さんはふくよかな顔をクシャクシャに微笑ませながら時々涙ぐんで言った。



「君が面接に来た柏原くんかぁ!いやいや嬉しいね、ここは女性スタッフが多くて女の園だから男は肩身が狭くてね。君が来てくれたら俺もちっとは居場所が出来るってもんだ。男同士一緒に徒党を組もうじゃあないか!」


やたら豪快に握手を求めて来たのは、洞島さんと云う髭をはやした熊みたいな人だった。ここの主任らしい。


「なーにが肩身が狭いですか。いっつも子供と一緒に好き勝手やって園長にお説教喰らってる人が。柏原くん、洞島さんの悪い遊びに乗っちゃ駄目よ。」


そう言ってお茶を出してくれた女性は北見さんと云うしっかり者っぽい職員だった。






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