愛を知る日まで
そして。
そんな慌ただしい一日も終わろうとしていた夕方。
俺は帰る準備をしてから、大きく一回深呼吸をした。
そうして、茜色に染まった園舎で、真陽を探した。
出来れば一人でいて欲しいな。まあそうじゃなくてもちょっと呼び出せばいっか。…最後だし、そんくらい許してもらえるよな。
けどラッキーな事に、真陽はちょうどスタッフルームで一人で作業していた。
どうやら遊戯室に貼る来月の植物を作ってるらしい。
俺はスタッフルームの扉を開く前に窓からその様子を少し眺めた。
四月に、一緒に桜を作った事を思い出していた。…もっとも、俺は桜じゃなく車を作ってたんだけど。
まだ一年も経ってないのに、やけに懐かしい気がする。
あの時から、きっともう俺は真陽が好きだったんだ。
無条件に俺のする事を信じて認めてくれていたこの女(ひと)を。
自分の気持ちを認めるまで時間が掛かったけど、俺はもうずっとずっと、この女(ひと)に俺の全てを受け止めてもらいたいって願ってたんだ。
―――そして、今は。
俺が、この女(ひと)の全てを受けとめたい―――
俺は一度目を閉じて息を吐き出すと、決意を籠めてゆっくりとスタッフルームのドアを開けた。