ALONES
* * *
どうしようもなく、緊張していた。
あの後、ランベールから激励を受けたはいいものの…こんな自分に国王の護衛が務まるものかと不安に駆られる。
…嗚呼、私なんかが…。
いつもの悪い癖だ。一度弱気になったらもう止まらない。
レイチェルは自室の一角に置いてある木の箱めがけて重たい甲冑を投げ込むと、嗚呼とため息を吐きベッドに寝転がった。
ひらりと純白のマントが体の上に覆いかぶさる。
上質な布でできたそのマントは、綿のように軽く、肌触りは抜群だ。
しかし。
――重い。
この白き衣を纏う事。
それは王族専属騎士として死を覚悟する証でもある。
幼いころからこれを纏うレイチェルにとって、その存在感は計り知れず、昔から重圧でしかなかった。
そして同時に、嫌な思い出を想起させる厄介なものでもあった。
くそう、と頭を振る。
質素で女気の無い部屋のど真ん中に、マントを投げつける。
蝋燭の火にでも燃やされてしまえ。
だなんて思いながら、結った髪を解く。
疲れた。
それに、なんとも嫌な気分だ。