ALONES


マズイ。




そう思った時にはもう、突き立てるようにして持ち替えられた刀身が迫っていて、

アストリッドは息を飲む。



私が、この七光りに殺されるの――?









しかし、その刀身がアストリッドの体を貫くことは無く。



代わりに他の誰かが自分とレイチェルの間に割り込み、その長い剣で斬撃を受け止めていた。

背中しか見えないその人物は、自分たちと同じく部屋着のままでここにいる。


黒く長い髪を靡かせ、大きく息を吐く人物の名を…彼女は呟いた。



「……、ランベール…」



アストリッドは完全に腰が抜けた状態で、彼を見る。


するとそんな彼はレイチェルの剣を受け止めたまま、こちらを振り返ると、



「去れ。」



鋭い目つきで言った。



「お前の主に伝えろ。話す事は何もないと。これ以上こちらに干渉してくるようなことがあれば、少なからず俺はお前を敵とみなす。それがどういう事か…お前にも分かるよな、アストリッド。」



ランベールは明らかに自分を、自分たちを威嚇していた。


< 108 / 185 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop