ALONES
「疑う事なく、人間は不老不死の伝説をただ信じて満足した。それがまやかしだとも知らず、狂信的に罪の食材を口に含んだ。」
悲しそうな瞳、噛みしめた唇。
彼女の表情を見た途端、殺されるのかも、と覚悟した。
でも、殺されても仕方がないと思った。
結局僕は欲にまみれた人間だった。
違うと信じたかったけれど、彼女の仲間を殺した人間と同じだ。
キーラを傷つけてしまったに違いない。
きっと、もう、元には戻れないだろう。
彼女に殺される事。
これが報いだというのならば…僕は甘んじて受けよう。
それだけの事を僕は―――。
「―――でもね。」
だが、
その刹那。
彼女の冷たい両手が首から離れ…僕の頬を包んだ。
「悔しいけど、その伝説が本当だったら、って何度も思ったのよ。」
驚いて視線を下げれば、俯き、肩を震わせる彼女の姿があって。
ポタリ、ポタリと僕の足の上に、温かい雫が零れ落ちる。
――――キーラ?
「私が死んだっていい。あなたの病を治せるなら。その為ならこの血をいくらでも分けてあげる。この躰すべてを、捧げてあげる。でも…」
弱くなっていく語尾が、彼女の異変を知らせ…次いで僕自身も動揺を生じ始めて。
「結局…私の血は…少数の害しか、治せない。無力よ。私は、アルに何一つしてあげられない…。」