ALONES
「――エルヴィスは、ロレンツェと戦争を始めると公言してきた。私がしないなら、自分がすると。今この国に必要なのは地位と名誉と、権力だ、などと馬鹿な事を言って、私の言う事など何一つ聞かない。一体、何が目的なのか…私にさえ分からぬ。」
――戦争。
それは最も危惧しなければならない事態だ。
ロレンツェの姫君との問題があってから、早数か月。
両国とも何の進展もないまま、睨み合いが続いている。
だが、それ以上何も進展しないのは両国共に負い目があり、尚且つ戦争を起こしても利益にはならないと分かっているからだ。
それに、ロレンツェは最も古い同盟国。
出来れば話し合いで解決し、元の友好関係を取り戻したい所だが…。
「厄介な事になってきましたね。」
ランベールは顎に手を添え考える。
幼き子どもの戯言なら簡単に無視できるが…流石にそうもいかない。
下手をすれば、下剋上を起こす可能性もある。
そうなれば陛下は勿論、王妃様や城に住まう貴族、下手をすれば自分たちも断罪されるのは想像に難くない。
ああ、それだけは、防がねば。