オレ様専務を24時間 護衛する


ハンターのような鋭い視線を浴びせる彼に

瀕死の状態の私は作り笑い。

出来る事なら、ここから逃げ出したい。


再び、歩き出した彼を追いかけるが

魂が勝手に逃避し始める。


何で男装なんかして、

百貨店内を追いかけっこしなきゃならないのよ。

知ってる人にでも会ったらどうするの?



従業員が皆、深々お辞儀をする中、

朦朧としながら各フロアをチェックしていると、


―――――――ドンッ!!


「す、すみません!!」


急に立ち止まった京夜様の肩にぶつかった。


「どうかされましたか?」

「お前、何か頼まれたんじゃないのか?」

「へ?」

「ん」


先程と同じように親指を立てて、

目の前のショップを指差している。


『LISSE』

あっ、お母様の言ってたお店だわ!!


「もしかして、ご存知だったのですか?」

「ん?何となく、そんな気がして。毎度の事だしな」


< 219 / 673 >

この作品をシェア

pagetop