オレ様専務を24時間 護衛する


残りの洗濯物干しを手伝い、

母親と共に1階のリビングへと移動した。


「希和は、何飲むの?」

「お母さんと同じでいいよ」

「そう?」

「うん」


母親が淹れてくれた紅茶を飲みながら、

京夜様との同棲生活の話をした。


いつだって母は、とても楽しそうに私の話を聞いてくれる。

頑固一徹の父親とは大違い。


そんな母に、気になって仕方ない事を聞いてみた。



「ねぇ、お母さん」

「ん?………何?」

「京夜様が、『テラス王子』だって知ってたんだよね?」

「…………そうね」

「どうして、教えてくれなかったの?」

「ん?…………どうしてかしら?」


母親は含みのある笑みを浮かべ、カップに口を付けた。



『テラス王子』

私が幼い頃、招待されたお屋敷のテラスに

いつも、つまらなそうに庭を眺める美少年がいた。


それまで、絵本の世界しか『王子様』なんて居ないと思ってたのに

そのお屋敷にはいつも、綺麗な洋服を着た王子様がいた。


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