オレ様専務を24時間 護衛する


私は物心つく頃から父親に武術を仕込まれ、

仲のいい友達が公園で遊んでいる時間も

独り自宅で稽古に明け暮れていた。


だって、稽古をサボると

いつだって父親にバレてしまったんだもん。



『頑固一徹』この言葉が一番相応しい父親。


私の意思なんてお構いなしに

母の言葉でさえ聞き流していた父親。


稽古の厳しさは半端なかった。


けれど、稽古自体は嫌いじゃなかった。

と言うより、一徹な性格は父親譲りみたいで

途中で放棄するという事が出来なかったんだと思う。



誰かと闘う、相手を打ち負かす、頂点に君臨する。

……そんな事はどうでも良かった。


ただ、父親に………

『よく頑張ったな』と言われたくて。



気付けば、『格闘女』だとか『チャンピオン』だとか

小馬鹿にするようなあだ名ばかり付けられ、

周りにいた仲のいい友達も少しずつ離れていった。



そんな中で唯一、私から離れて行かなかったのが……朱夏。

彼女は見た目だけでなく心も綺麗な、私の憧れの女性。


< 537 / 673 >

この作品をシェア

pagetop