オレ様専務を24時間 護衛する


あの当時、幼いながらも傷つき、

そんな自分の弱い部分を隠すように虚勢を張っていた。


じゃないと、心が折れてしまいそうだったから。


普段の私は全然違うのに、

真逆の事を口走ったりして、よく朱夏に言われたっけ。


『そんなに無理して我慢しなくてもいいのに…』



生真面目すぎる性格な私は、何においても全力投球だった。

勉強も武術も、そして、従順な娘でいる事も。


今思えば馬鹿らしいけど、

あの当時は『楽をする』という事が分からなかったから。




そんな時に出逢った……王子様。


普段はワンピースだなんて着ないのに

そのお屋敷に行く時だけ着せられて……。


でも、それが凄く嬉しかった。

『スカートが穿きたい』と言えなかった私が

唯一、着る事が許された時間だったから。



お屋敷に招待されていたのは私だけでなく、

お人形さんみたいに可愛らしい女の子が沢山いた。


友達付き合いが苦手だった私は、

そんな彼女らと話す事無く、ただ彼女らの会話を聞いていた。



『私達の中から、お嫁さんが決まるんだって!』


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