オレ様専務を24時間 護衛する


その言葉を聞いて、胸が高鳴った。


もしかしたら、私が『お姫様』になれるの?


凄くドキドキして心が弾んだけど、

テラスにいる王子様に近づくと

現実が私を容赦なく打ちのめした。



だって、キラキラに輝く王子様に相応しいのは

同じくキラキラに輝くお姫様なのに、

ガラスに映る自分は、身体中……痣だらけ。


親に言われて王子様の隣りに座っても

………身動き1つ取れなかった。


ちょっとでも動いたら、

スカートの裾から青々した痣が顔を覗かせてしまいそうで。



幼いながらもそんな事を考え、

『見るだけならいいよね?』そう思って、

彼の横顔を何度も見ていたの。




そして、私の8歳の誕生日の日。


久しぶりに訪れた王子様のお屋敷で

父親から言われた………一言。


『ここへ来るのは、今日が最後だからな』


それは、私に対して

『お姫様にはなれなかった』という現実を知らせるものだった。



もうこれ以上、ここに来る意味は無い。

お姫様の候補から脱落した事を知らせる、そんな言葉だった。


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