わらって、すきっていって。
やがて夜空の下に姿を現したのは、首にライトグリーンのリボンを巻いた、かわいいテディベアだった。
「あげる。もらってほしい」
「ええっ、わたしにですか!?」
「ほかに誰がいるんだよ、はは」
そうだけど。いやまあ、そうなんですけどね。
でも、わたし、あなたに振られている身なんだよ。やめてよ。こういうの、もっと好きになっちゃうから。
「……受け取れない、よ」
「あれ、くま嫌いだった?」
「そうじゃないけど! くまさんも、かわいいものも大好きだけど! でも……わたし、本城くんに告白して、振られてるんだよ?」
なに自分からとどめを刺されにいっているんだろう、と。頭ではちゃんと突っこみを入れたりもしている。
「期待させるようなことしちゃダメだよ。もっと好きになっちゃうよ。……そんなの、本城くん、困るでしょう?」
本城くんははっとした顔をして、「そうか」とつぶやく。
うわ、やっぱりとどめだ。わたしはここでもう一度振られて、プレゼントはなかったことにされるのかもしれない。やっぱりテディベアはかわいいし、なんといっても本城くんからのプレゼントなんだから、素直に受け取っておけばよかった。間違った。
「そうだ、肝心なこと言うの忘れてたな、俺。しかも順番もめちゃくちゃだし。ごめん、こういうの……ほんと慣れなくて」
「本城くん……?」
「――俺、安西さんが好きだ」
ちょっとはにかんだ表情。それがわたしを見つめたかと思えば、居心地悪そうに目線が泳ぐもんだから、わたしの視界がぐにゃりとゆがむ。
ねえ、いま、なんて言ったの?