わらって、すきっていって。
「う、うそだあ……」
振られたときは涙が出た。そりゃもうびっくりするくらいの量だった。
でも、そうか、知らなかったよ。
好きなひとに好きだって言われたときも、涙って、出るんだなあ。
「嘘じゃないよ」
「だって……だってわたし、一回振られて……」
「うん。ごめん。勝手なこと言ってるのは分かってる。……なあ、泣かないで、安西さん」
泣くよ。泣くに決まっているよ。こんなの泣かないほうがおかしいよ。
ああもう、本城くんの前なのに、顔面びしょびしょだ。いまわたし、すごくぶさいくだろうな。
「たぶん、いまみたいに、たくさん泣かせたんだろうと思う。いろんなこと悩ませて、苦しませたよな。それでも俺は安西さんのこと、どうしても好きだって、あきらめらんねーって思った。いろいろ長いことしゃべったけど、俺は安西さんのことが好きだ。それだけだ。
だからもし、安西さんの気持ちが変わってなかったら……その、俺と……付き合ってほしい」
夢を見ているのかもしれない。
だってそうだよ。こんなの、どう考えても夢だ。本城くんがわたしなんかを好きだなんて……そんなの、現実世界ではまずありえないわけで。
ためしにぎゅっと頬をつねってみる。あれ、なんでだ、痛いぞ。
「なにしてんの」
「だって夢かと思って……」
「夢じゃないし、嘘でもないし、ドッキリでもなんでもない。……でも、俺のことなんて、もう信じられねーかな」
「ちっ、ちがうの! 違うの……違うんだけど、なんていうか、まだ、全然頭が追いついてなくて」
言いながら、びしょびしょの顔面を手で拭って、彼を見上げた。その肩の向こう側には、ため息が出るほど美しい、満天の星空が広がっている。