わらって、すきっていって。

わたしもかなり驚いていたけど、美夜ちゃんもずいぶん驚いているようだった。大きな瞳がさらにまんまるに見開いている。


「……なーに、あんたもいるわけ、好きなひと」

「いるよ。まあ、相手には奥さんがいるんだけどさ」

「ええっ!?」


そんな話はいっさい聞いていないんだけど!?


「ごめん、あんこにも言ってなかったね。でも、なんとなく言えなくて」


えっちゃんが少し申し訳なさそうに笑った。

ダメだなあ、わたし。ずっと自分のことばっかりで、えっちゃんの話を聞いてあげる余裕すらなかったのか。情けない。

えっちゃんも苦しい片想いをしていたなんて、全然気付かなかったよ。ごめんね。


「ふうん。エリコだっけ、あんた性格悪そうだけど、ちょっと気合うかもって思った、いま。ちょっとだけ」

「奇遇。あたしも同じこと思ってた」

「まあ性格はすっごーく悪そうだけどねー」

「あんただけには言われたくないけどねえ」


いやはや、もう、美人の世界というのはよく分からないな。仲良くなれるのか、そうじゃないのか、いったいなんなのか。

わたしは、えっちゃんも、美夜ちゃんも、すごく素敵な女の子だと思う。性格が悪いなんてとんでもない。


「ねえ、また今度さ、3人でパンケーキ食べようね」


まだまだ問題は山積みだけど。それでも、また気の強すぎる美人さんふたりとパンケーキを食べながら、恋の話がしたいよ。

そのときはみんな、素敵なひとと素敵な恋愛をできているといいな。……わたしは、本城くんのこと、話せているかなあ。

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