《俺様的》彼女の手なずけ方
「天音様のお母様の親友と同じように、天音様を孤独から救って下さったお方。

葵様になら、奥様も…きっとお喜びになるでしょう」


「そんな…」


「天音様の親友の証として、これをつけてくださると嬉しゅうございます」



天音ちゃんのお母さんの、親友との絆のペンダント…。



石は全ての光を吸収し、幾千もの青い光を眩しく放っている。



綺麗…こんな大切で高価な物、あたしがつけたら負けちゃうよね。



明日は、この輝きに負けないようあたしも頑張らなきゃ。



「わかりました。ひとつ…聞いてもいいですか」



「なんなりと」



「どうして…奥様はそんなに仲良かった方に、お礼も言えず、心残りにされていたんですか?ケンカ別れでもしたとか…」



そう言うと、メイドさんは辛そうに目を伏せた。



「あの方は、突然…いなくなってしまったのです。誰にも、なにも告げず…」



え…失踪したってこと?



「これは、婚約の記念だったのでは?」



そんなめでたいときに、どうして。



< 568 / 711 >

この作品をシェア

pagetop