お嬢様になりました。
「葵ーっ」

「華っ」



電話の相手が突然竜樹から華に変わった。


私がいなくなって、華と竜樹は二人でお昼食べてんのかな?


華がもっと竜樹と距離を縮められたらいいな。



「華も勿論一緒に行くんだよね?」

「勿論行くよっ。 また浴衣着て行こうね」

「うん、そうだねっ」



そういえば、浴衣マンションに置きっ放しだ。


何処にしまったっけ?


今度探しに帰ろう。



「詳細はまた近くなったら連絡するね」

「うん、分かった。 ありがとっ」



電話を切り、携帯をポケットにしまった。


スプーンを持ち、オムライスを食べ様としたが、視線を感じ顔を上げた。


こっちをじーっと見ていた玲とまた目があった。



「な、何?」

「竜樹って誰?」

「前の学校の友達だよ」

「男だよね?」

「うん、男だけど……」



それがどうしたんだろう。


空気が少し重たく感じるのは私の気のせい?



「そいつと何処行くんだよ」

「隆輝には関係ないじゃん」

「あ? 関係ねぇわけねぇだろ」



何で関係あるのよ。


マジであんたには微塵も関係ない。


そう思うけど、ここでそこまで言っちゃったら更にこの場の空気を悪くしてしまう。


隣の隆輝から思いっきり睨まれ、私はため息を零した。



「花火大会に行くの」



何で毎回私が折れなきゃいけないのよ。


腑に落ちないながらも、そうしなきゃもっと疲れる事を知っているからどうしようもない。





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