お嬢様になりました。
第十一話 ヒーロー
この広い食堂で一人でご飯を食べると、余計寂しい気持ちになる。


最近は家でご飯を食べる時は一人ばかりだ。


お祖父ちゃん忙しいみたいだし、しょうがないか……。



「本日は常盤(トキワ)様とどちらかお出掛けでいらっしゃいますか?」

「いえ、華とは何処にも出掛けません」



食後の紅茶を飲んでいたら、荒木さんに尋ねられそう答えた。


華と会うのは久しぶり。



「差し出がましい様ですが、近頃外へお出掛けなさいませんが、何か理由でもあるんでしょうか?」

「理由は特には……なんか出掛ける気分にならないだけです」

「作用で御座いますか」



荒木さんは腑に落ちない顔をしていた。


気まずい気持ちになり、私は視線を逸らし紅茶を一口飲んだ。


言えない。


言うのが怖い。


それでも荒木さんには相談しようと何度か思った。


けど大切な人たちに万が一の事があったらと思うと、相談出来なかった。


このままだと奴の思うツボだと、自分でも分かってる。


でも何が一番良い策なのかわらかない。


ーコンコンコン。



「失礼致します。 葵お嬢様、ご友人の常盤様がお見えでございます」

「分かりました。 私の部屋に案内して下さい」

「畏まりました」



メイドさんにそう伝え、私も自分の部屋に戻る為食堂を後にした。






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