お嬢様になりました。
「葵ーっ!! 久しぶりーっ!!」



部屋に入るなり、先に部屋に着いていた華が笑顔で抱きついてきた。


懐かしい感覚に心が温かくなる。


抱きつき返そうとした時、華が体を離し、私の顔を覗き込んできた。


浮かない顔をしている華を、首を傾げて見返した。



「ちゃんと食べてる?」

「うん、食べてるよ」

「ならいいんだけど……痩せた気がする」

「そうかな? 自分ではそんな感じしないんだけどな」



食欲が日に日に落ちていく。


それは自分でもハッキリ自覚している。


誰かと一緒に食事をしている時は無理やり食べてるけど、一人の時はどうしても食事が進まない。



「元から細いんだから、それ以上痩せちゃダメだよ?」

「あーうん、気をつけるね」



ーコンコンコン。



「はい」

「失礼致します」



荒木さんがいつもの様に、飲み物を持ってきてくれた。



「お飲物をお持ち致しました。 どちらにご用意致しますか?」

「じゃあ、テレビ前のテーブルにお願いします」

「畏まりました」



荒木さんがたんたんと慣れた手つきで、テーブルの上にセッティングしていく。


本当に荒木さんには、お世話になりっぱなしだなと思う。





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