殺し屋天使



下調べが念入りであろうとも、敵の警戒は無論厳しく、だからこそトドメに一流を用意したのだ。


いや用意するはずだった。


しかしその一流に(しかも子飼いに!)袖にされ、やむなく用意した二流では荷が勝ち過ぎた。


敗因は明白。


殺し屋(しかも子飼い!)が命令を反故にしたのは事実だが、契約不履行(ドタキャン)ではないのだから、二流で事に及んだ男の詰めの甘さも敗因の一旦はある。


あるのだが―――


幹部の地位までも揺るがす失態に、男の憤怒の矛先は全てが殺し屋に向けられた。


逆恨みのヤツ当たり。






―――そして彼は見過ったのだ。


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