殺し屋天使
部下の中でも腕の立つ、選りすぐりに残忍な気性の者を10人程従えて、再び殺し屋の前に立った。
殺し屋は相変わらず茫洋とした面持ちでそこにいた。
世の中のありとあらゆる苦痛を味わい悶絶しながら死に絶えるがいい。
男は残虐に笑い猛獣を解き放った。
結果は思っていたよりずっと早かった。
闇に立つのは唖然とした男と―――
相も変わらず茫とした殺し屋。
以前と違いがあるとすれば殺し屋の全身が真っ赤に染まっている事のみ。
まるでスコールを浴びたようにしたたかに彼を濡らすモノは鮮血―――
十人分の。
「今…何時っすかね。」
不意に受けた質問は、街頭かどこかで耳にするものに相応しく危機感も衒いも感じられなかった。
男は思わずというように腕の時計を覗き
「1時…28分だ。」
デジタル時計の示す数字を口にした。