殺し屋天使
府に落ちない顔の少年に男は苦笑で肩を竦めた。
「私にとって医療とは私の研究を遂行するための手段であって、別に名医を志しているつもりはないものでね。」
そう言われて少年は大人しく引き下がった。
ベクトルが違い過ぎて答えとしてはあまり役には立たなかった気がする。
けれども、どこかにはっとする真理が含まれていたのも事実。
それが何なのかハッキリ見出せたワケではないのだけれども。
片付けを終えて、少年は傍らの機械へ足を向けた。
とうに試験を終えた機械が出力していた紙を破り、それに目を落としながら、彼の元へ向かう。
彼はと言えば、医学界最高峯のメフィストの手術にもフルーツゼリー状の生きた人形にも興味はないらしく毛布にくるまって床で寝ている。
「おい。起きぃや。なんら異常あらへんで。」
ここにあるのは医者であり、科学者として名高いメフィストの医療器具。
どうせなら、と彼に基本的な身体検査を受けさせておいたのだ。