殺し屋天使
歳は同じ程。
背は殺し屋の方が少し高いが、筋肉の付き方から体型からして掃除屋の方ががっしりしている。
吹けば飛ぶような痩身とは正に。
ただ病的な痩身ではなく、強いて言うなれば不節制な生活の招くもの。
との見解は以前医療に携わっていた少年の為せる断定だ。
平たく言えば、食が細い上に運動不足。
若者らしい覇気もなけりゃ、裡から滲みでてくるような狂気の類も感じさせない。
これが都市伝のバケモノよろしく、常時には大業そうにのたくた歩いているくせに人を襲う時だけマッハで動くのか
―――と思えば、然にあらず。
終始一貫して彼の動きは俊敏には程遠い。
にも関わらず、彼は易々と危機を回避した。
殺ろうと思えば殺れる余裕さえ持って。
瞬間にして敵わないと悟った少年は、少なからずこの世界で生き延びる者であり、己の力量を十分に知り受けとめているからだ。
無駄な虚勢は身を滅ぼす、とは格言だ。