殺し屋天使
「わい、スズキっちゅーねん。アンタは?」
その言葉に彼の顔が僅かにくぐもった。
言葉にするなら、ビミョウ。
その不思議な反応を少年が怪訝に思った時
「あー。スズキさんじゃねっすか!!」
そんな声が聞こえて、二人は揃って段上を仰いだ。
上の階に天使の羽をつけた少女が一人。
彼を見詰め感激に打ち震えている模様。
「こんなトコロで会うなんてうんめぇぇぇ――――――。」
絶叫放つと同時に階段をひとッ飛びに飛んだ。
背の羽ではなく脚力で。
そして愛する者の懐へ―――
「ぅお!?」
飛びこむ場面で妙な声を上げたのは掃除屋少年。
隣で胸やけ必須のラブラブシーンが臨めるかと思いきや、然にあらず。
飛んできた少女の手には三十センチほどのサバイバルナイフが握られていて、肉薄する彼に一思いに振り下ろされた。