先生、スキ
苦しい、切ない、悲しいけど嬉しい自分がいる。
駄目な私がいる。
尚人だって同じだって思っていいの?
「ねえ、尚人。
私だって駄目な人間だよ?
尚人に奥さんいるって知ってたのに
今日もデートに誘ってわざと教科書忘れて。
私も駄目人間。
でも今の言葉に嘘がないなら
今日だけ、私達カップルなんでしょ。
今日だけのたった1日だけのカップル。」
そして私は尚人の大きな体を
精一杯強く抱きしめた。
「梨菜は悪魔だね。
俺を困らせてばっかりだ。」
「今日さ、私の家来る?」
尚人はコクリと静かにうなずいた。