青空バスケ―3rd―
「……アキ君は失敗したことある?」
「そんなのいくらでもあるよ。
学生の時なんて何度先生や先輩に怒られたことか……」
「……就職してからは?」
アキ君は一瞬動きを止めてあたしの顔を見た。
そして、小さく口元を緩めた。
「……あるよ」
「え……?」
「俺なんて怒られてばっかりだよ。
失敗して……怒られて。
でも、そうやって怒られた分だけ成長していってる気がするんだよな~。
不思議だけど」
怒られて成長する……か。
「……やらかしちゃったのか、栞奈」
「うん……やらかした」
あたしは小さく苦笑いした。
「ね……アキ君」
「ん?」
「……アキ君は高校生の頃に戻りたいって思ったことない?」
「え?」
アキ君は意外そうな顔であたしを見た。