ウソ
「付き合ってない……っていうの?」

知り合ったのはこの母校だった。

口説かれたときには本気にしていなかった。
けれど、いつの間にか。
恋心が芽生えていた。

誰にも渡したくないくらいに、恋して。
彼の言動に一喜一憂して。

頭を撫でる彼の手が愛しい。

「ごめんね。ただ先生が、由梨子さんの彼氏が羨ましかったんだ」

彼氏なんて……。
彼の声が愛しい。申し訳なさそうな表情も。

十歳も年の離れた彼に、恋をしたのが間違いだった。
悪いのは私なのに。
彼は優しく諭すように、頭を撫で続ける。

「わかった。わかったから……」

「ごめん」

出逢ったのは母校だった。
そして失恋をしたのも、母校だった。

―おわり―
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