君に Ⅰ

俺は、その内容をはぐらかして、舞歌に話をさせた。



そして、舞歌は最後にこんな話をした。

「私ね、みんなに導かれたんだ。」

「???」

「私が、迷ってるときに、みんなが向こうのほうで私の名前を呼びながら泣いてた。そのとき思った。


ああ、みんなのところに戻んなきゃって。」




「・・・。」



「最後は手探りだったけどね。

私の手を握ってくれてたおかげで、ここに戻ってこれた。」


じゃあ、あの時、俺が手を握っていなかったら、舞歌はそのまま死んでいたのだろうか。







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