君に Ⅰ

事件


今日、俺が学校に行ってみると、この話題でもちきりだった。


連続殺人犯が突如消えたらしい。

しかも、その消えた場所がここの地区だという。



瞬に詳しく聞いてみると、警察は誰かがかくまったと考えているらしいといっていた。



「っていうかさ、何でそんだけの理由でこの学校に警察が来なきゃいけないわけ?」


すると、瞬は馬鹿かコイツはというような目で俺を見た。

「やれやれ。僕より頭がいいとは思えないよ。君は知らないのかい?この学校にたくさんのお坊ちゃんたちがいることを。」

「あ。つまり、こいつらの親が自分の子供を心配して、警察に要請したんだ。」

「そういうこと。ちなみに、この情報は僕しか知らない。」

生徒の中ではね。

と付け足した。




「それより・・・」

瞬が心配そうな顔をする。

捨てられた子犬みたいにちょっと可愛い。

「ニヤニヤするな。気持悪い。」

「すまん」

見られていたのか。



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