たっぷりのカフェラテをあなたと
 ブブブ……。

 健吾さんの携帯が震えている。
 でも、彼は出ようとしない。

(そういえば、彼は私の前で携帯をいじるようなところを見せた事がない)

 こんな事を思ったけど、話し相手がいる時に携帯をいじる方が失礼だし、健吾さんは私に気を使ってチェックするのを遠慮しているんだろうと思っていた。

「本当に……健吾さんっていい人ですよね」

 文句の付けどころのない品行方正な彼を見ていて、自分が妙に汚れた人間のような気がして、こんな事を言っていた。
 すると、健吾さんは手にしていたグラスをガタリとテーブルに落とした。

「健吾さん……?」

「いい人?僕が……いい人だって?」

 そう言って私を見た彼は、今まで見た事も無いほどの影を引きずっていた。

「絵里ちゃんに僕はそんな人間に映ってるのか」
「そうでしょう?少なくともあなたに欠点なんて見当たらないように思うけど」

 そこまで言ったところで、彼は抑えられないようにククッと笑った。

「僕は……とんでもない詐欺師だな」

「……え?」
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