たっぷりのカフェラテをあなたと
「絵里ちゃんの前ではもう少しカッコつけていたかったな」

 ジャケットを脱いで、改めてシャツ姿のままベッドに横になる。
 もうすっかりアルコールの余韻も抜け、その表情はいたって冷静だ。それでも、これから告白する事は彼にとってつらいものみたいだ。

「僕は……数か月前まで、絵里ちゃんと同じように男性に傷つけられていた女性と付き合ってたんだ」
「そう……」

 健吾さんが誰と付き合っていようとそれは特に問題ではない気がする。
 でも、その付き合っていた相手というのが”既婚者だった“と知ったのは少なからずショックだった。

「夫からの暴力に耐えかねて、彼との子供が出来ないようにと相談に来てくれたのが最初だった。離婚するにも彼女は心も病んでいて……独立して働ける状態でもなかった」

 医者としての最善の策はアドバイスしたようだけど、それでも彼女の心に安定は訪れず。とうとう、その女性は時々彼を病院の前で待つようになったのだと言う。

「時々会って話を聞いてくれるだけでいいと言うんだ。そうでないと明日にもベランダから身を投げてしまうかもしれないっていうくらい追いつめられててね……見てられなかった」
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