たっぷりのカフェラテをあなたと
「その女性を好きだったの?」

 この質問に、健吾さんは苦い顔をした。

「ここが僕の最低なところさ。偽善者ってやつかな……僕には関係ないって突っぱねる事もできたんだけど。結局、彼女を追い払いきれなかった」
「それで……不倫をしたのね」

 私の心はそれほどザワついてはいなかった。
 逆にそんな道徳的な事を犯してまで女性の心を救おうとした健吾さんの行動は彼らしいとも思った。
 ただ、その人との関係が今はどうなったのか気になった。

「彼女は……僕との付き合いにも満足できなかったみたいで。結局他の男性とは体の関係を持ち始めて。明らかに精神を癒す場を間違った方向に向けていた」

 自分と関係する事で彼女を救えるなら……という気持ちで付き合っていたんだろうけど。
 健吾さんの遠回しな拒絶を彼女は感じていたんじゃないだろうか。

「それで、健吾さんから彼女に別れを切り出したの?」

 コクリと頷き、健吾さんは目頭を指で押さえた。
< 53 / 57 >

この作品をシェア

pagetop