M i s t y


ベッドに横になり、お互いの顔を初めてゆっくりと見た。

雄也の顔は以前に比べ少し肉が落ち、一段と怜悧さを増していた。

頬に手をのばすと、私の手をとり愛しげに唇に押し当てたあと 

指を絡ませてきた。



「俺のプロフィールを書き換えただろう 正しく記載してくれよ 

身長は3センチ増しだ」


「そんなことまで情報が漏れてるの 呆れたわ 筒抜けなのね」


「情報なんて漏れるように出来ている」


「言うわね だから私のこともわかったの? ねぇ いつから見てたの?」


「ふっ 怪我が治ったら抱いてもらう約束だったからな 

接触する機会を狙ってた」


「自分ばっかり……私だって どれだけ心配したか……」



求め続けた男の顔がすぐそこにあった。

半年間の思いが込み上げて、雄也の胸にしがみついた。



「自信が持てなかった お前に会って いまさらどうする 

そんなことばかり考えながら ずっと澪を見てた」


「私だって雄也のことばかり考えてた」


「初めて俺の名前を呼んだな」



嬉しそうな顔をし、優しく肌を撫でるだけだった手が、また意思を持って

動き出した。



「澪の顔を思い出しながら 一人寝も寂しくなかった」


「変なこと考えてたんでしょう バカ」


「当たり前さ こんなことばっかりな」



いたずらをする子供のような笑みを浮かべながら、

雄也の手は脱力した腰をまさぐり、やがて私の中で戯れた。

激しい交わりで敏感になった内部は、僅かな刺激で痙攣をおこし、 

喉からもれる声は、恥ずかしさなどかなぐり捨てたように部屋に響いた。



「俺が忘れないように 澪の声を聞かせてくれ」


 
俺が忘れないように……

別れがくることを意味していた。 

そうだ、このまま、いつまでもこうしているわけにはいかないのだ。

雄也の愛撫が、快感を伴う甘さから切ないものへと切り替わる思いがした。



一晩中、達はベッドの中で過ごした。

無言で抱き合い、疲れるととりとめのない話をした。

眠りに就いたのは朝方近く。 

それから瀞のように眠り続けた。





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