【短】悲観的恋愛物語
あたしの携帯が鳴ったのはその夜だった。


誰?知らないアドレスからのメール。

とりあえずそのメールを開いてみる。


『こんばんは。今日財布を落とした者です。拾っていただいて本当にありがとうございました。』


最初何のことか分からず、少しして今日の出来事を思い出した。

なんだ…落とした人見つかったんだ。


あたしは今日ツイてなかったけど、この人は運がよかったんだね。

あたしもあなたみたいになりたかった…。




「いえいえ。落とし主が見つかって安心しました。」


そうメールを送り返すと、すぐに返事がきた。


『お礼を送りたいので、住所を教えていただけないでしょうか。』


この人サラリーマン?

財布の感じから男だって予想はついてた。

そしてこのメールの感じ…やっぱり大人だよね?


「いえ、お礼なんて結構です。お気持ちだけで十分です。」


この人に合わせてあたしも、記号も絵文字もない文章で送った。


こんなストレートな文章、今まで打ったことあったかな?

作文みたいじゃん。
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