Sales Contract
エレベーターで10階まで上がり、部屋のインターホンを押した。
カメラで確認したのか、すぐにドアは開いた。
鼓動が早くなる。
「よく来たじゃない。
秋本くん、久しぶり。
色々話したかったの。
春樹もいるけど…とりあえず中に入って」
春樹…
彼がいたらまずいだろ。
「あたしはいいの。今日はこの子と思う存分話して。
その代わり…ちょっと春樹さん連れてきてもらってもいい?」
とっさにそう判断したあまり、自分が全く望んでないことを口走ってしまった。
隣では勝也くんが目を丸くして驚いている。
いや、一番驚いているのはあたし自身か。
お姉ちゃんは怪訝な顔もせずに、部屋の奥の方から春樹を連れ出してきた。