Sales Contract


それを聞いたらもう今の穏やかな二人には戻れなくなるということぐらい、あたしでも分かっていたけど、聞かない訳にはいかなかったんだ。


「…千絵さんが欲しくなったからだよ。
それ以外に理由なんてあるわけないじゃん?」


そんなストレートに言われても、素直にありがとうなんて返せる余裕なんてもう残ってない。


「…そんな風に言わないで。
勝也くんとどうやって接したらいいのか分からなくなる…」


拒むので精一杯だ。


「ごめん…今日の俺、ちょっと変だよね。
頭冷やしてくるよ。
今日は帰らないから」


そう言って勝也くんは、身なりを整えると立ち上がった。


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