【コラボ】ブラック・メール
送り主は『碧海深音』となっている。へきかいみお、と読むのだろうか。
「直接…ですか」
「何か問題でも?」
「いえ、あまり新婦さまにストレスを与えたくなくて……」
それもそうか。
表面上はいつも楽しそうに打ち合わせに参加しているが、結婚式をしたら命はないなどという脅迫状が届いているのだ。
本当は不安に違いない。
「…………」
セッテはそっと、顔を段ボールに押し当てる。
何の音もしない。
機械のモーター音も、薬品が揺れる水音も。
バネがしかけてあれば、金属がきしむような音がわずかにするはず。
「……開けましょか」
「勝手に、ですか」
「送り状を破かないように、ガムテをはがします。
念のため、安城さんは離れとってください」